R135

最近何かこう、色々なものから自分が逃げている気がする。頭の中がいつもモヤモヤしている、とでも言うのか、とにかくすかっとしない。あんまりこんなところで愚痴っていてもしょうがないので先に進む。「自らを貶める者は、貶める者としてなお自己を誇る」と、どこぞのおっさんも言っていたことだし。


昨日は夜の8時30分頃友人と話をしていて、「どっか行きたい、ていうか行こうぜ」と持ちかけたところ思いがけなく承諾してくれたので行く事にした。銚子は遠そう、伊東は終電がなくなった、江ノ島は近すぎる、というふうに順次候補が狭まり、最終的に目的地は小田原になった。ぼけっと電車に乗り、小田原城で酒を飲みながらぐったりしていると当然ながら段々寒くなってきたので取りあえず歩いて真鶴まで行って日の出を見てみよう、という流れになった。


しばらくすると突然太平洋が現れた。日本海と違って季節風が吹かないせいか海は穏やかで、見ていてじれったくなる。隙あらばこちらに襲い掛かってやろう、みたいな妖気が感じられない。去年の江ノ島・稚児ヶ淵からの景色とはえらい違いだった。色も、波の細かさも、まるで鮫肌のような感じがするな。などと思いながら歩いていると、あちらこちらにテントを張ったおっさんやバイクで乗りつけた兄ちゃん、かなり大声で歌っている男(ただし年齢不詳)みたいな人間が出没し始める。自分も、こうした痛い人間の中に含まれるのかと思うとしんみりしてしまった。


途中色々寄り道をしているうちに根府川に着いた。目の前の国道135号を8km歩けば真鶴に着くと分かる。ほとんど車の通らない、曲がりくねった山中の国道をすたすた歩いているとそのうち真鶴に着いた。合計で大体5時間ぐらい。悪くないペース、ということにしておこう。


薄明かりの下でとんびやかもめの大群が浅ましく上空を旋回しているのを睥睨しながら日の出を待っていると、見る見るうちに空が焼けてきて、テトラポッドの上で胸躍らせて腕組みしていると知らない間に日が上ってしまった。返す返す不思議な港町だ、と思ってさっさと帰った。…土産忘れたので今度謝ろうと思う。なかなか激しい一日だった。