帰省

京都に帰る。例によって夜行バスだ。フライングスニーカー号。
バスには飛行機や新幹線には無い良さがある、と思う。例えば深夜のSAだろうか。12時を回っているというのに、構内はバスの乗客や家族連れ、トラックの運転手などで控えめに賑わっている。不思議な高揚感に包まれているとも、心ゆかしいとも――もちろん僕の場合は5ヶ月ぶりに家に帰るのだという感慨に耽っていたのだけれど。
この感覚は鈍行での移動とも違う。高校の頃の鈍行旅行で感じていたのは、刻々と移り変わる景色とは裏腹の、一向に目的地に着かないあのじりじりとした退屈と、見知らぬ人とずっと席を同じくするちょっとした緊張感だった。…そういえば大学に入って、日をまたいだ旅行をしていないな。またどこかに遠出したい気分になってきた。期日を決めるのはまだでいい。
京都に着いて、祖母の家でうたた寝して、寮生活では考えられないくらいの夕食をとり、寝た。溜まっていた疲れが静かに沸々と押し寄せる。関西の友達に会いに行くのはもう少し後になりそうだ。